脳内カメラ文章法

良い文章を生み出す根源が、強くてクリアなイメージではないかという仮説を先に発言いたしました。
では、イメージを使って視点ブレの無い文章を書くテクニックをお伝えしますですよ。

それは、脳内にカメラを持って、これに写る物をスケッチするように文章にする、というテクニックです。

①まずは頭の中に状況をイメージします。
 たとえば、安由美さんが、放課後の誰もいない教室でしくしく泣いていて、それを主人公の僕が見かけるというシーンを作りましょうか。
 ここでイメージするべき物は、安由美さんがどんな人なのか、教室のどこにいて、どう泣いているのか、なぜ泣いているのか、僕はどこから入場して、どう声をかけるのか、僕は安由美さんをどう思っているのか、と、これくらい想像します。
 原イメージなので、時系列にそって想像するだけで、まだ絵作りはしません。最初の空間(教室、僕の居る廊下)と時間軸(安由美さんが泣いている、僕のリアクション)だけを想像します。

②脳内カメラで状況を写します。
 脳内のカメラなんですが、どうやらスチルカメラというよりはビデオカメラのようです。

・三人称のカメラ
 安由美さんと僕以外に、カメラを撮っている黒子さんが居ます。彼にカメラを渡して、状況を撮ります。

 夕焼けで赤い教室>安由美さんのロングショット>カメラが寄って、安由美さんのバストショット、泣き声を収録>机に落ちる涙のクローズアップ>扉の開く音>カメラがパン(横移動)して、戸口に立つ僕の姿>カメラがズームして、驚いて居る僕の顔のアップ>僕のセリフ>カメラ、パン、安由美さんが顔を上げる。

 この脳内カメラで撮った状況を、コンテに起こせば映画に、コマ割をすれば漫画に、文章にすれば小説になります。ノベルゲームの場合は素材の限界がありますので、安由美さんの泣いているイベント絵一枚>扉が開くSE>立ち絵での芝居、という流れになりますね。

・一人称のカメラ
 脳内カメラの位置を安由美さんか僕に合わせます。
 ここでは僕の目線にカメラを置いて状況を撮ってみましょう。

 夕焼けの廊下>教室のドア>開いて、教室内のロング>中央の席に女の子がうなだれて座っている>カメラちょっとズーム、机の上の涙の跡を見る>僕のセリフ>女の子、顔を上げる、バストショットにズーム、安由美さんと解る。

 三人称カメラと撮れた物が違うのは、カメラが僕の目線にあるので、扉の向こうの物が見えなかったり、教室の真ん中の席の女生徒が誰なのか解るのに時間がかかったりします。

 こんな感じで、脳内カメラで「誰が撮っている画面なのか」をシミュレートしながらイメージすると、視点の混乱が無くなりますし、余分な描写を省く事も可能です。
 ビバ! 脳内カメラでございますね。

 ちなみに、お話を作る人が凄いのは、脳内カメラを回しつつ、複数の脳内人物を同時に走らせて、虚構の空間を創造してしまうところですな。何という高次処理なんざましょうか。

 
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by sakananovel | 2009-07-09 14:21 | 同人ゲーム製作


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