メールが届きましたよ。
Q:起承転結で絶対に物語は面白くなりますか? A:なりません。お話を組み立てる最低限の基礎であって、あとは本人の努力次第です。 つか、起承転結は構造なので、オモロイとはあんまり関係しておりません。 律儀な起承転結構造でも、共感できない主人公で、派手なだけでリアル感のない山場で、馬鹿みたいなテーマだったりすると、ちっとも面白くないです。 でも、殆どの面白い映画は変調のない起承転結構造となっています。 構造が面白いわけではなくて、内容がオモロイわけです。 で、構造が変だと、オモロイ内容が阻害されると言う訳なのですな。 「うわー、人物こんなに立ってるのに、テーマも良いのに、起承承結でつまんねーっ!」 と、こんな感じ。これを構成がなっていないと言います。 筒井康隆さんとかトリッキーな構造の小説を書く人でも、普段の小説は起承転結構造に乗っ取っています。普通の構成の小説があるからこそ、トリッキーな小説が目立つわけで、なんでもかんでも妙な構成にすれば面白いと言うわけではないのですね。 「じゃあ、倒叙法で書かれた刑事コロンボのシナリオはどうなんだよ!」 という意見もあるかと思われますが。あの構成って起承転結構造が無いでしょうか? 起:事件が起こる。犯人側視点 承:コロンボの捜査 転:意外な盲点から犯罪がばれてしまう。 結:犯人がっくり。 立派な順接の起承転結ですね(^^) 「四駒でもいがらしみきおとかはどうよ! 起承転結してないぞ」 実は起承転結がしてないように見えるだけです。 ぼのぼのから見てみましょう。 一駒目:シマリス、ぼのの方へ歩く 二駒目:「いじめるいじめる?」 三駒目:「いじめないよ~」 四駒目:アライグマくんが走ってきてシマリスを蹴飛ばす。 確かに起点と結がなくて、承承承転みたいですね。 じつは、ぼのぼのの連載方法というのは、四駒単品ではなく、幾つもの四駒が集まった集合体だから見えにくいだけなのですな。 このブロックの最初の四駒は、ぼのぼのやシマリスがどこにいるか、何をしているかの四駒が入ります。これがブロック全体の起点となるので、個々の四駒では起点をもうけなくてもすみます。 ブロック最後の四駒は全てを受けたオチのような四駒が入ります。 離れてみると、起承転結構造が浮かび上がってくるわけですね。 ぼのぼのには何回分ものブロックに別れたエピソードもあり、その場合も、エピソード自体に起承転結構造が見えます。 例えば、荒くれ者の熊とスナドリネコさんとの対決は、ぼのぼのたちのエピソードの後ろで展開します。 起:スナドリネコさんが荒くれ者の熊が帰ってくると言う噂を聞く四駒。 承:いろいろぼのたちは心配するがスナドリネコさんは飄々としている四駒。 転:スナドリネコさんと荒くれ熊の対決。対決の意味を変えて勝ってしまうスナドリネコさんの四駒。 結;荒くれ熊の奥さんとスナドリネコさんとの会話で締めくくりの四駒。 起承転結とは構造なので、フラクタルな出現の仕方をします。 起の中にもまた起承転結があり、承の中にも、転の中にも、結の中にも小さな起承転結が有るわけです。 ただ、単位が小さくなると形が変わる時があります。起を省いたり。結がなかったりします。最少単位はたぶん承・転ですね。 構成上手なシナリオには、起点の部分で起承転結の構造を見ることができます。 というかエンターテイメントの起点内部で起承承と盛り上がらないと、「大丈夫かこの話は」と不安になります。 起承転結の利用法 構成という作業があります。物語を削ったり、加工したりして、形を整えていくわけですな。 起承転結が力を発揮するのはこの作業です。 「起が転より盛り上がってるなあ、ちょっと、起で使うエピソードを転部分に持って行っててこ入れするか」とか 「起承転結はなってるんだけど、承展開が起転転結になって複雑だなあ、バラすか」とか こんな感じにお話全体のバランスを取る為に主に使われます。 起承転結を知らなくても、物語センスのいい人は自然に起承転結曲線を描く構成を作る事が出来ます。 ですが、物語センスがあまりないと自覚するひとは起承転結曲線を利用した方が安全です。 素人の作る物語が、訳分からない、面白くない事の大半が起承転結感覚の欠如です。 この手法はアイデアを発想する手法でないことに注意してくださいね。 物語を分析する時と、物語を組立調整する段階でつかいます。 構成の段階を収束フェイズとよんだりもします。 物語作りに作業状況を、発案フェイズと収束フェイズに分ける考え方があります。 発案フェイズは物語を発想するフェイズ(時点)で、粗筋を考えたり、キャラクターの設定をつくったり、キーとなるシーンを思い浮かべたりするフェイズです。 ここに使う便利な手法として、タロットカードを使ったり、昔話や神話のお話の分類から立ち上げたり、シーンを沢山作って組み合わせ連結したりする方法などがあります。 物語を脹らませる作業と言ってもいでしょう。 収束フェイズは上の発案で出た素材を、最終的に調整整形する作業です。 削ったり、伸ばしたりして、読者に伝わりやすく、読みやすい形にする作業です。 収束フェイズを主に構成作業と呼びます。 世の物語解説本に発案フェイズの手法は結構あるのですが、収束フェイズの手法としては起承転結法以外のものを知りませんですねえ。外国の四分割とかも殆ど同じだしね。 何かありますかのう。
by sakananovel
| 2005-06-15 21:07
| シナリオがらみ
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