序盤の情報開示

序盤の情報開示について考察であります。

まずは悪いイントロ例(マヨ例:マヨ記事を読むと解りやすいかも)
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 僕の名前は、林原ノブナガ。
 先週、お母さんの仕事の関係で、この街に引っ越してきたばかりなんだ。
 新しい生活の拠点となる、この街は日本海に面していて、冬の間は雪で閉ざされるんだ。
 僕は17歳で高校二年生なんだよ。
 前の学校の友達と別れて、新しい学校での生活は不安だけど、なにか新しい出会いとかあれば良いと思ってるんだ。
 (このあと聞きたくもないノブナガ君の情報が沢山続く)
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なぜ、この手の自己紹介イントロだと読む気がみるみる失せるのかというと、情報しかなくて、状況が動いていないからですな。

手あかは付いているのだが、意外に良いイントロ
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「うわあ、ちこくちこく~」
 何が悪いって、三国武将がいけないっす。
 特に周愉さまが良くない。
 イケメンにして大変使いやすいというお方なので、ついつい深夜までずうううううっと三国統一に向けてコントローラーをにぎりしめていたりするのだ。
 で、寝坊して、ちこくちこくなんですよ。
 私の口にはトーストですよ。
 桜の花びらの降る坂道を、学校に向かってスカートをはためかせながら逆落としのように走るのですよ。
 そして……。
 曲がり角で当然のように……。

 どかんと音がして、私は逆落としの勢いのまま路上を転がった。
「いたた」
 路上で三回転して、ガードレールに激突して止まった私が目を前にやると、そこには、三国武将そっくりな男子生徒が転んでいた。

 ……。
 うわあ、キョチョだ……。

「なにをするんだかなあ、いたいじゃないかー」
 キョチョというのは、三国志にでてくる豪傑で、私の好きなゲームでは、童顔でふとっちょ、そしてでっかいハンマーを持って移動速度が遅い。なんというか滅茶苦茶使いにくいキャラの一人であったりして。
 で、そのリアルキョチョがゲームのモーションそのままに立ち上がろうとしたので、カバンで無意識に追い打ちをかけそうになって、いやいや、駄目駄目とカバンを抱きしめたりして。
「ご、ごめんなさい、私急いでいて」
「やあ、まるで少女漫画の始まりみたいだなあ」
 いや、少女漫画の場合はキョチョお断りだし。
「……。きみはまるで……。三国武将のゲームにでてくる……」
 え?
「祝融さんみたいだねえ」
 そういってキョチョは、ふもほほほと笑った。
 私は思わずカバンで無双乱舞を発動するのをギリギリで止めた。
 祝融さんというのは、例のゲームでは南蛮の豪傑の嫁さんで、通称かーちゃん。
 美人でグラマーで嫌いじゃないのだけど。女子高生が似てるといわれて嬉しいキャラではないなあ。
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 む、なんで、三国無双のファン小説の書き出しみたいになってるのだ(^^;?

 とりあえず、ちこくちこくスタートの良いところは、状況が動いてる状態から始まる所ですね。
 とりえあず、キャラの自己紹介から始めないで、最初から状況を動かしつつ、情報開示すると吸引力が高くなると思われます。

 たとえば『 桜の花びらの降る坂道を、学校に向かってスカートをはためかせながら逆落としのように走るのですよ。』という文からは「春である」「主人公は女子学生」「学校は坂の下にある」という三つの情報が隠れています。
描写と状況説明をセットにすると、テンポ感が良くなるわけなんですな。

 一人称手法で自己紹介から始めるのはなるべく避けた方が良いと思っています。
 なぜなら、頭の中で自分自身の事を『僕の名前はかわうそうータン。毎日ゲームを作ったりやったりしてるんだぜ』と思考する事は無いからですな。
 実際にやらないことを、作中でやってしまうと、『僕は実は架空の存在なんだぜ』と言わせているような感じがして好きではないのです。

(興が乗ったので続き)------------------------------------------------------------
「朝、キョチョそっくりの男子に会ったよ」
 ゆかりんは野菜サンドからキュウリを取り出しながら、私を見た。
「びっくりしちゃったよ、ゲームから出てきたみたいだった」
 私は牛乳を、ちゅうと飲んだ。
「そりゃ、マサルさんだわさ」
「あれ、知り合い?」
 キュウリ抜きの野菜サンドを噛みながら、ゆかりんは頷いた。
「この学校にはキョチョは一人しかいない。剣道部に夏侯惇はいるけど」
 む、惇兄そっくりの人が居るのかー。見たいなあ。
「遅刻しそうになって慌ててたらぶつかったよ」
「む、それは悲恋の始まり」
「い、いや、そのキョチョと恋愛はあり得ないですよ。というか、何で悲恋?」
「螺子(ネジ)とマサルさんでは釣り合わないから」
「え、いやあ、私はそんな」
 ゆかりんに誉められたから私の頬が熱くなった。
「言い換えよう、螺子ではマサルさんに釣り合わない」
「はい?」
「マサルさんは学校のアイドルだぞ」
「……キョチョなのに?」
「マサルさんバスケ部のキャプテン」
「えーーっ! 相撲部じゃなくてっ!?」
「学年トップの秀才。東大を狙ってるらしい」
「えええええええ」
「ふとっちょだがほがらかな笑顔で女性の心を釘付けだ」
「そ、そんなあり得ない存在が……」
「かたや螺子といえば、ちょい綺麗だけど、顔が濃いめ」
 う、うるさい。
「ゲームオタで、成績は低空飛行」
 やかましい。
「そんな螺子がマサルさんと釣り合うだろうか、いや、釣り合わない」
 反語で否定しないで。
「というわけで、マサルさんに惚れるのはやめておこう」
「私、ポリゴンで出来てない人間にまったく興味ないですよ」
「まったく、ゲームオタクめ。繁殖行動をしないと乙女の青春は真っ暗だぞ」
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タイトルは「キョチョなのに」だね(^^;
この話のフック(興味を引っぱる部分)は
>螺子とマサルさんはどういう関係になるのか。という線かなあ。
>螺子って名前はオモロイ。螺子の親は何を考えてつけたのかのう。中小企業の工場の娘か。一階は工場で二階が住居なんだ。NS旋盤のプログラムとか勉強してそうだね。
(たぶん続かない)
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by sakananovel | 2006-02-17 12:09 | 同人ゲーム製作


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