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フィリップマーローとエロゲーの主人公

自作ノベルゲームのフレイバーとして、推理小説的なフックを使用することは最初から考えておりました。
でも、本格推理のフックでは、ちと限定しすぎるし、伝奇のプロットとも相性が悪い感じでした。
本格推理というのは、結局のところパズル小説で、トリックが主導であります。
「ありえるかいっ!!」ってトリックが目白押しでございます。
なにゆえ殺人現場という異常な場所で色々な小細工ができるのでしょうか?
というつっこみをする人は楽しめない世界であります。
なにより、伝奇な魔法系の物が出てきた時点で、トリックが意味をなさなくなりますな。

そこで、取り入れようと思ったのが”ハードボイルド”であります。

ハードボイルドと伝奇という組み合わせは前例がありますし(ダークエンジェルだったかな)
行けそうです。きっと魔法少女と組み合わせても大丈夫です!
そこで、底本として当たったのが、レイモンドチャンドラーのフィリップマーローシリーズです。
レイモンドチャンドラーですよ、もう作者名から格好いいのです。

で、読みました。早川と創元推理文庫のチャンドラーのものを大体(寡作な人なのでそんなにはないのだ)
……。読み進めていく間に、なんだか、どこかで見たようなキャラ立てが……。

フィリップ君は、自分の事を僕と呼ぶ、私立探偵です。(早川版、創元では私)
昔、警察に居て、なんかあったのでやめました。
困ったときや、ピンチの時に軽口を叩く癖があります。
強い権力や暴力に対してやせ我慢をしたおします。
そして、お姉ちゃんに誘惑されてもやせ我慢です。

……。
エロゲー。
エロゲーの主人公だ。
フィリップ君は、青春系エロゲーの主人公。
普段は不真面目なんだけど、やるときはやる奴のような性格をしてました。

エロゲーの主人公の特有な性格である、天の邪鬼でやせ我慢でやさしい。
この基礎ベースというのは、エルフのエロゲー「同級生」から始まった物と思われます。
たぶん、「同級生」のシナリオライターの方はチャンドラーが好きだったのかと思われますな。
このやせ我慢男キャラの流れは、「ONE」や「AIR]に流れ、青春系エロゲーは多かれ少なかれやせ我慢男であります。

日本のエロゲーはハードボイルドだった。
という、意外な事実を発表して、この項を終わります。

というか、影響(オマージュ)の流れって面白いものですなあ。

で、とりあえず、チャンドラーはやめて、自作キャラのベースにはディック・フランシスを使う事となりました。書いているうちに単なるつっこみ君となりましたが……。
by sakananovel | 2005-06-10 15:06 | 読書


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